紅葉狩り
自由奔放な友人が紅葉狩りに出かけないかと、唐突にレンタカーでやってきた。
「どうしたんだよ、そんな格好なんかして」
迷彩服で身をかためた友人は腰に手をあて白い歯を輝かせながら、たからかに笑った。
「ああ、おれはハンターだからな」
軽トラックの荷台には、高枝切りバサミやチェーンソー、ナタやロープが積まれている。
「で、どうする。一緒にやるか、紅葉狩り」
一緒にやるか、か……。ふと見上げた空はどこまでも澄み渡り、頬をなでてゆく風はなんとも心地よかった。まったくもって残念なことに、抜群の行楽日和ではあるけれど。
「いや、やめておくよ。こっちは素人だし、いろいろと危険でやっかいな事態に巻き込まれそうだしな」
「そうか、了解した。ならば、せめておれの成果と無事を祈っていてくれ」
急くように後輪を軋らせ去ってゆく友人を見送りながら、俺はさっそく無事を祈ることにした。
切り倒された紅葉の木という獲物を発見され、くれぐれも警察に通報されませんように、と。