鏡開き

          鏡開き
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 お母さんが、鏡もちを砕いている。
「ねえお母さん、なんでそんなに細かくするの」
 一心不乱に木づちを振るい続けるお母さんに、僕は聞いた。
「ほほほ……、ただ、なんとなくね」
 大きなお腹を引っ込めるように大きく息を吸ったお母さんは、ものすごく怖い目でお父さんを見ながら、力いっぱい木づちを振り下ろすのだった。
 鏡もちを砕く音は、いつまで続くのかな……。