実態を調査する
とある宇宙船の船内。
宇宙人たちは騒然としていた。
地球の島国にあるファミリーレストランを監視していたシステムが警告を発し、注意を喚起しているのだ。食糧難を招く危険性のある地球人あり、と。
さっそく宇宙人たちは地球人を捕獲してくると、どのように危険なのかを実際に試してみることにした。
強制的に意識を奪った地球人を鈍く光る銀色の台にのせ、鼻をふさぎ、口の中へと太い管を差しこむ。それと同時に、この地球人が先ほど食していたものも完璧に再現した。
そして、再現したものを胃の中へと流しこむ装置が起動された。
……数秒後。
ボンッ、ブッシュゥゥゥ。
地球の島国でとても美味しいと評判の〈牧場から優しさの贈り物・搾りたて牛乳を贅沢に使用したとろ~りプリン〉を大量に流しこまれた地球人の胃は耐え切れずに張り裂け、膨張を続けていた腹部までが呆気なく破裂してしまった。
なぜ、このような結果に……。
惨憺たる現状をまえにして、宇宙人たちは動揺していた。
監視システムのエラーなのか。それとも、この地球人が発していた「わあ、美味しい。わたし、これならいくらでも食べられちゃう」という言葉が、不確かなものだったとでもいうのだろうか。
地球を調査すること幾年月。今回もまた、良質の報告を上にあげることが出来そうにない。地球人に対する調査はままならず、宇宙人たちは故郷に戻る機会を失い続けていた。